六本木クラブV2にてナンパ-GW最後の即を目指して-(前半)

5/5、カレンダー通りの休日は6日まで

俺たちに残されたチャンスはこの一日だけであった。

ロミオ、イワセ、そしてクラブデビューのナスダック君。

ロミオとイワセにはPUAとしてのプライドがある。

前回のGW初日の屈辱、俺たちはとにかく即という結果を欲していた。

 

【23:00】V2 TOKYO

 

まだ行列は出来ていない時間帯。

IDチェック、荷物をロッカーに入れてエントランスを抜ける。

ドリンクを各自貰い、決意の乾杯

今夜はいける-なぜかそんな不思議な雰囲気を俺たちは感じていた。

 

【23:15】

乾杯からのタバコを吸い終わらないうちに声掛け開始。

3人組の一人が別の男に剥がされたタイミングでイワセとロミオのコンビにて。

スト値5.0、6.0といったところか。

ロミオ担当は5.0、エヴァンゲリオン2号機パイロットと同じ名前。

横浜在住、25歳、今日は友達に連れられてきたとのこと。

恋愛遍歴、地元トーク等、十分に和むが5.0は終電で帰るとのこと。

即はないと思い、番ゲして放流。

 

【23:30】

とにかく今日のロミオとイワセはテンポがいい。

通路で都合よく3ペア発見。

 

「お待たせwwwwwww」

 「待っとらんわw」

 

でオープン。

通路に止まってると怒られるから~と口実をつけ窓際まで移動。

20歳、彼氏無し、関西から状況してきて、今は品川に住んでいるとのこと。

ルーティーンを駆使し、そこそこ和む。

 

「最近流行ってるLINEってアプリ知ってる?」

「最高に面白いスタンプを頼むよ、関西人ならできるだろう?笑」

 

番ゲ、放流。

その後も、同様の流れで二組ほどスムーズに番ゲ。

ピークタイム前にしてかなり順調に案件を作れていた。

 

【24:00】

3人でフロアを一周

するとダンスフロア脇の手すりで1人ゆらゆらと揺れる女性がロミオの目に入る。

顔もろくに見ずに3秒ルール発動でロミオ、抜け駆け声掛け。

 

「待ったー?会いたかったよ♪」(満面の笑みで)

「もー待ったよぉ♡♡♡」

 

オープンした瞬間に俺が魅了されていた。

160cm、細見の体系に凛とした瞳に白い肌。

値としては7.5、文句なしのスト高。

持ち合わせのルーティーンを駆使するも、思考が追いついてこない。

完全に彼女との会話を楽しんでしまっている自分がいた。

窓際に連れ出し和む。

歳は25歳、彼氏無し、北海道出身で18の時に上京してきたとのこと。

俺は心の底から北の大地に感謝した。

恋愛遍歴は普通か。前の彼氏は相手の浮気で別れたらしい。

どれだけ贅沢な野郎だ。

短大卒業を経て、今は会社の受付で仕事をしているとのこと。

彼女が受付にいるだけで、従業員のモチベーションは朝から右肩上がり間違いなしだ。俺が都内で営業していたら毎日飛び込み営業していただろう。

二人でドリンクを貰いにバーカンへ。二人の出逢いに乾杯。

 

「クラブよく来るの?」

「たまにかな、ロミオは?♡」

「俺は久々だよ、だから今日は君に逢えてよかった」

「嘘、よく行ってるんでしょ♡」

 

顔が近い、彼女の心地いい香りが俺の鼻孔をくすぐる。

 彼女の甘い声が、耳の穴を通り抜けて直接脳みそに響いてくるみたいだ。

音楽にゆらゆらと身体を動かす彼女。

 

「それ飲んだらフロアでちょっと踊る?」

「うん!♡」

 

彼女の手を引いてフロアへ上がる。

ノリのいいEDMに合わせて、お互いの目を見つめ合いながら踊る。

 

「少ししたら一緒に出よう」

「チャラい~www」

「君ともっと一緒にいたいんだ」

「誰にでも言ってるんでしょ?」

「そんなことない、君は特別だ」

 

こんなやりとりをフロアでずっと続けていた。

友達と来たからとの理由で連れ出しは断られた。

都合がついたら後で一緒に出よう。必ず連絡するか。

そうして彼女のもとを離れた。

ふと腕時計を見る。時刻は25:00近く。

フロアを見渡す。人でごった返している。

ピークタイムに突入していた。

この時、ロミオは初めて自分がオンリーワン中毒になっていたことを自覚した。